そソステヌートペダルについては述べません。是が非でも欲しい機能ではありませんし、使用方法に特別デリケートなものがある訳ではないですから。


ここではダンパーペダル(右のペダル)とウナコルダについて基本的なことを述べることにします。


ダンパーペダルについては、まず振るえている弦、特に低弦に触ってみることを勧めます。


低音を弾いたままその弦に触れてごらんなさい。弦がどれほど激しく振動しているかを実感した後、指で音を止めようとしてみる。


また、ダンパーを軽く持ち上げてみると良いです。ただし注意して。今度はダンパーを見ながら音とペダルを一緒に使ってみます。フォルテで弾いた後にペダルを離し、目でもダンパーが弦をきちんと押さえたことを確認します。


その後すぐにもう一度ペダルを踏んでみると、音はもちろん弱くなっているけれど、消えるとはほど遠いことが分かります。


音を完全に止めるためにはどれほどの時間が必要なのかをこうやって知っておくことは決して無駄ではないと思います。


実際の演奏においては完全に音を止めることがいつでも必要というわけではありません。また、ただ耳で判断して上手なペダルであればこのような遊びは要らない。


しかし往々にしてペダルを踏むことに気を取られ、離した直後に再び踏む傾向が見られます。そうならないためには弦の振るえを体感しておくのは有効だと思います。


ハーフペダルについてもよく書かれています。これを理解することは簡単です。ただ、踵を床から上げて、つまり太ももを使って踏むと曖昧な踏み方がしやすいことを知るように。


踵が着いている状態では踏めないというわけではありませんから、どこで太ももを使って踏むと良いか、などと悩むことは要りません。ファジーな踏み方がしやすいことを知っておくだけで足りるでしょう。


これはお尻で安定して座っているから出来ることだ、というのも忘れないように。絶対に踵を上げてはいけないと主張する人も少なくないようですが、腰がピンと伸び、背中の柔軟さに欠けることが多いのと関係があるのでは、と考えられます。


左のペダルの働きも難しいことはないですね。また、経験上左のペダル(ウナコルダ)を踏んだ時はしっかり目に弾くことを知っている人は少なくないかもしれません。


ウナコルダを踏むと3本の弦を打つ代わりに2本乃至1本を打つ、というのは全くの誤解です。昔の楽器はそうだったのでしょうが、フェルトのハンマーを使用するようになってからはハンマーが弦を打つ位置がずれるだけです。


ですから出来たばかりの楽器は、もちろん替えたばかりのハンマーも、ウナコルダを踏んでも音はほとんど変わりません。


ハンマーのフェルトに弦の跡が付き、固くなるとウナコルダでずらされて柔らかい部分で打つ訳です。


ハンマーの内部は大変堅固に巻かれています。その上に柔らかくほぐされたフェルト部分があると理解してください。


このフワッとした部分の柔らかい厚みをハンマー本体とでも言いましょうか、堅固な部分まで伝えるのです。そうしないと柔らかい厚みは意味を成しません。


それがウナコルダを使う時にはしっかり弾くことの意味です。


ですからウナコルダは必ずしもピアニッシモで使うということではないのです。メッツォフォルテ位までは使用できますし、反対にピアニッシモで使わないことも可能です。出る音の特性をよく感じて使うことが大切です。