バレリーナは背筋を美しく伸ばしているではないか。また、空手、剣道、ボクシング、フェンシング等、背筋を伸ばしてかまえるスポーツはたくさんあるではないか。そう思う人もたくさんいるかもしれません。また、今までに「バレリーナの姿勢をごらんなさい」と注意された人もいるはずです。そうした折には「見た目にも美しく」と付け加えられることも多いようです。

 

たしかにそういう姿勢を保つ身体の運動は少なくない。でももう一度よく考えてください。ボクシングや空手などの構えで上体を起こすのはまず第一に防御のためです。相手の攻撃を見切るために上体は立たざるを得ない。すると背中の伸縮はある程度制限されます(実際の選手の動きは少し違いますけれど、あくまでふだんの動作や球技などと単純に比較すればの話です)


その代わりにこれらの競技でのひざの役割はたいへん大きい。ボクシングのトレーニングで縄跳びをしているのを思い出してください。あそこまでしてひざのクッションを鍛えようとしているのです。

 

また、バレリーナの立ち姿は、前述のように、見た目の美しさから来ているのではないですか。彼らが前かがみで踊るところを想像もできません。ここでもひざの(もちろん足首もですが、あまり厳密に言及するする必要はないでしょう)役割はとても大きい。

 

見た目の美しさといっても、テニスの伊達公子選手や卓球の福原愛選手がバレリーナのように「美しく」立っていたら、私でもサービスエースが取れます。まず、そんな恰好を美しいと思う人はいない。想像してみてください、笑われるだけです。