部屋は吸音材を使った方が良いか

響きすぎる部屋は耳がだまされるから望ましくない、と一般にはいわれています。これにも疑問を呈します。

 

響くというのはじっさい気持ちが良いものです。まずはその気持ちよさを体験するのは大事ではないですか?

 

体験もせずに「よく響く音」で弾こうと努力する、なんと無意味な努力か。目的地を定めずにやみくもに歩くようなものです。

 

人はみんな体験したこと以外のことを空想することはできません。神様の姿でさえ、人の姿と似ている事実を考えてください。

 

響きも同じです。騙されるかも、と心配するより先に、響く快感を体験すること。

 

音響設計業者はあれこれ説明して、少しでも仕事を増やそうとしますが、それに惑わされる音楽家もまた多いのは残念です。

 

普通の部屋で、現に与えられた条件でよく耳を澄ますことが大切です。自分の部屋で美しく響くように努める。それに習熟すれば、ほかの条件下で弾く際にも順応することができます。

 

常に耳と体が一体になって動くということです。それをテクニックというのです。