親指は大変重要です。前項では柔らかさを強調しました。
柔らかさは、しかしいつでもそのままに使うわけではありません。多くの場合に強く保った状態でも使用します。
注意しなければならないのは、その際に手首が硬直しないようにすること。
言葉では漠然としますが、例えばリンゴを持って手首、腕をゆっくり柔らかく動かしてみましょう。指の強さはこれ以上弱いとリンゴが落ちてしまう、というくらいが良いです。
言葉では分かりにくいのでとりあえず実際にリンゴを持ってみます。
http://www.youtube.com/watch?v=_T32dGxBesI
カメラを左手で持ちながらで少々見づらいですが。もう少しきちんとした映像にしたら差し替えます。
この時自分の上腕がどうなっているか観察してください。見る必要はないです。ただ、いわゆるダランとした状態からどれほどかけ離れているかを実感してもらいたい。
ただ、次のようにならず。手首が完全に受け身になっています。
https://www.youtube.com/watch?v=sjfzXttPX-4
ひとつ注意しておきたいのは、こういった状態がいつでも間違っているというのではありません。軽やかな動きの時はこんな感じになっています。これは手首の高さというよりも手首の状態と理解してください。
もう一例。こちらは手首に対して負担が大きすぎます。
https://www.youtube.com/watch?v=2lVtSVKL3M0
これまた、一瞬の動きとしてはあり得ます。撥ね上げて弾く場合などです。ただ、この項では指先から肩、背中までの基本的な関連を示したいのです。
要するに鍵盤と手の自然な位置関係で試して御覧なさいということです。
こんな原始的な方法でも、最近のグッズなどよりはるかに実用的で理解に役立つのです。中には危険だと思われるものすらあります。
この例ではリンゴの重さが一定ですけれど、ピアノ演奏においては常に変化することは忘れずに。ここでは親指をはじめ、指から肩、もっと言えば背中に至る全体の関連を体感してもらえば良いと思います。
親指について書くはずが、その前段で終わってしまいました。しかしここは非常に大切ですから抜かすわけにいかなかった。項を改めてもう少し親指について書きます。