ではなぜ指の付け根を出すことが何より重要だと言われるのでしょうか?

 

それは簡単に強さを獲得出来るからです。レッスンでその形を作らせて弾けば、誰でも大きな音が出せる。そこで納得する。そういうことです。

 

しかし前項で指摘したように、この「強さ」は動きを妨げ、コントロールを不可能にし、結局その人の技量を落としてしまいます。よく観察すると、(まがりなりにも)弾けている人は、本人が思っているのとは裏腹にこの「山の形」を放棄しています。

 

つまり教わったことを「忠実に、愚直に」守ろうとした人だけは置いてきぼりをくらう羽目になります。その辺りが私がやりきれないと感じる最大の理由です。観察することの難しさでもあります。

 

ここでもう一度注意をしておきたいのは、指の付け根が落ちて見えることは決して良いことではないということです。これが落ちて見えるのは手に体重がかかってしまっているからです。それについても前項で述べました。

 

付け根の関節の強さを獲得するのは短時間で出来るものではありません。でも指先に重さをかけないようにすること、また、指の付け根を緩めることに慣れてきた時にはある程度まで強くなっているものでもあります。

 

外側から見ただけでは分かりにくいものなので、私は弾いてみせる時に指の付け根を押させます。するとそこが一種のバネのように作用していることに全員が気がつきます。このHPを読む人にそこを言葉で表す術がないのは残念なことです。(動画で何とかならないかと色々試行錯誤していますが)