支え、つまり適切な高さに保たれた腕は、さまざまな回転運動を与えられています。

 

人の動作における最短距離は直線ではないのだと説明しましたね。それをもう一度思い出してください。

 

回転する運動がピアノ演奏において大きな役割を果たすのですが、ではどのような回転なのか。

 

最重要なひとつはチェルニー40番の20番で課題になっているものです。(現在譜例を挙げることができませんが、いずれできるようになったら掲載します)

 

ここでの手の回転とは、鍵を開け閉めする時の腕の動きのことです。観察してください。肩が手先を捩じっています。肘の位置は変わらないでしょう。肘まで動かさなければ開け閉めできないのなら鍵が悪い。KURE556でも差して滑りをよくするしかありません。

 

肘はよい弾き方の場合、この例で分かるように基本的に動かないものです。その形を外側から見た人たちが「肘は動かしてはいけない」と教えるのですが、動かないと動かさないはまったく違う。決して混同してはいけません。動かさないように留意している人は腕全体を使うことが困難になります。